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Muv-Luv SS脇役 香月夕呼の場合2


 2002年1月1日 横浜基地


 「……旅立つ若者たちよ。諸君に戦う術しか教えられなかった我等を許すな――。諸君を戦場に送り出す我等の無能を許すな――。願わくば、諸君の挺身が、若者を戦場に送る事無き世の礎とならん事を……」

 ラダビノッド司令の演説が脳内で繰り返される。あれを原稿を準備しないで話したというのだから、あの男もたいした者だ。
 きっとあれがラダビノッド司令の真情なのだろう。
 真実の言葉は人の心を打つ――。
 基地へ戻る道の途中で、私はそんなことを考えていた。

 振り返りもう一度、空を見上げる。
 彼は誰時の空に伸びて行った白い雲は、今はもう薄くなって消えていた。

 まりもにあの子たちが旅立つところを見せることができて良かった――。私はそう思った。

 霊の存在や、天国や地獄のことを信じているわけではないが、かと言って全否定するつもりもない――。
 私の宗教心なんて所詮そんなものだが、それでも、こうしてまりもに見せてあげられたことは良いことだと思える。

 なんとなくではあるが、もし天国や地獄が本当にあったとしたら自分が逝くのは地獄だろうな、と私は覚悟していた。

 因果律量子論などという超理論を研究していながら、一方で霊的なものには大して興味のない自分の感性が可笑しかった。
 ひょっとしたら、いずれ研究をしてみよう、と思う日がくるのかもしれない。

 ――人類に明日が残っているのであれば。



 本来ならば司令本部に残っているべきであっただろう。私の立場はそういうものなのだから。
 だが、ラダビノッド司令は私が司令本部を離れて、連中の出立を見送るのに反対はしなかった。
 外の空気を吸ってくるがいい――、むしろ、そう言って私を送り出した。

 無骨な老戦士のように見えて、その実、かなり気配りのできる男である。
 ALⅣ計画でも随分と私を守ってくれた。彼がいなかったら計画はここまでくる前に頓挫していたであろう。
 彼の気遣いはいつも有難かった。
 今回の配慮も私の体調を見抜いてのことだと思えた。


 先の横浜基地襲撃以来、私は一睡もしていない。
 これで通算で五日目になるのか――? 多少、鈍くなっている頭の中でカレンダーを見直した。

 もちろん、私だって普通の人間である。
 00ユニットのように量子電導脳を持っているわけでもないし、衛士のように鍛え上げられた肉体を持っているわけでもない。
 体力的にはただの一般人だ。

 そんな私が五日間も眠らずにいられるのには訳がある。

 軍事基地というのは便利な所で、様々な薬品が保管されている。
 兵士に恐怖を忘れさせる薬品。
 痛みを感じさせなくする薬品。
 そして中には、人間の精神を覚醒させるものも当然のように置いてあるのだ。

 誰もが知っている通り、それは危険な薬だ。
 常習性があり、最終的には精神も肉体も破壊される悪魔のような薬だ。

 ――一昨日から私はその薬を使っていた。

 私は自分の頭脳を貴重に思っているので、今後二度と使おうとは思わないし、作戦終了後はリハビリ施設に入ることも検討してはいたが、今という時には使わざるを得なかったし、実際にそれは非常に効果があった。
 
 この五日間、会議や作戦立案で休む間もなく働き、とりあえずカタチにできたのは紛れもなくこの薬のお蔭だ。
 頭は冴えるし体力も充実していた。とりあえず何時間か前までは――。

 イヤだったのは使うたびに効き目が落ちていくことを実感したことと、注射しているところを社に見られてしまったことぐらいだ。

 社は私を咎めなかった――。
 ただ悲しい顔をしていた。

 ああいう時には、注意されるよりそちらの方が堪える。
 私は社に、イギリスの名探偵も使っているのよ――、などと下手な言い訳をしたが、彼女は笑ってはくれなかった。

 






 



 司令本部は静かだった。電子機器の冷却ファンが廻る音とスタッフの腰掛ける椅子の軋む音ぐらいしか聞こえてこない。
 緑色を中心にした機器の照明は穏やかで、こうも静かだと先日のBETA襲撃の際の慌ただしさはまるで連想できなかった。

 私は自分の席に着き、正面モニターの軌道経路図に視線をやった。まだ部隊の集合までにはしばしの時間がかかる。
 そして――、できることも特にない。

 「――大丈夫かね、博士? 」

 傍らに座っていたラダビノッド司令が話しかけてきた。
 その瞳が作戦の成否ではなくて、私の体調のことを聞いていた。

 「座っているだけですからね――。彼らに比べれば、何ともありませんわ」

 「そうは言っても……、ここ何日かは満足な睡眠もとっていないのだろう――? 」

 やはり、しっかりバレていたようだ。

 「部屋に帰って休みたまえ。突入開始までには、まだ時間がある――」

 「ご配慮には感謝します――」

 でもきっと部屋に帰って目を瞑っても眠れるものでもないだろう。
 ラダビノッド司令に表情だけでそう答えて、私は椅子に深くかけ直した。

 ――これから地獄が待っている。

 衛星軌道上の周回に入った連中の顔を思い出すと申し訳なくなってくる。

 後悔しても何も始まらないのは理屈では理解しているが、それでも感情の動きは止められない。
 反応炉が情報伝達端末だったことを見逃したこと。旅立つ彼らに充分な装備や作戦を授けてやれなかったこと。
 思い出す度に腹が立ち、自分で自分を壊したくなる。

 ふいに私の目の前にコーヒーの入ったカップが差し出された。
 ラダビノッド司令だ――。

 「……ありがとうございます」

 こんなことをされたのは初めてだった。

 「楽にしたまえ――」

 彼はそう言った。
















 作戦は第一段階から躓いた――。
 
 侵入予定地であるSW115周辺の制圧に手間取っているのだ。
 本来なら先行しているこの部隊に制圧してもらい、ハイヴ突入部隊は赤い絨毯の上を歩かせる予定であったがこの様子ではそれも難しい。
 作戦を前倒しして地上部隊が健在の間に降下させたほうが良い状況なのだ。

 そうなれば味方がいるとはいえ、突入部隊も戦闘は避けられまい。
 私は予定が狂いつつあることに臍を噛んでいた。

 作戦を修正し、それを軌道降下部隊に伝達する。
 彼らは予定を切り上げて、この周回でハイヴ目掛けて降下することになる――。

 司令本部内は事務的な声がわずかに聞こえるだけだ。
 誰もが悪い予感を抱えながら割り当てられた作業に専念している。

 「第一、第二戦隊のALM発射確認、減速及び大気圏突入シークエンスに移行――」

 オペレーターの声に心持ち緊張が混ざった。
 モニターにALMが発射されたことを示す光点が表示された。続いて第一、第二戦隊が電離層へ侵入して行く。本命のXG-70dは最後方の第五戦隊だ――。
 彼らが大気圏に突入する頃には先行部隊のALMによって、充分な濃度の重金属雲が発生しているはずだ。

 私はゆっくりと進んで行く光点の動きを注視していた。赤色の光点が蝸牛の歩みのようにゆっくりと進んで行く。

 その表示に何か違和感を覚える――。

 ――……何故……。

 ――何故、光点がALMの爆発と重金属雲の発生を示さない――?

 「レーザー照射ッ……、ありません!! 」

 ――!?

 「何だとッ! 」

 オペレーターの悲鳴にも似た報告にラダビノッド司令が思わず立ち上がった。
 その声で私は逆に冷静になれた。違和感の原因はこれだったのか――。

 「……どうやら学習の成果を発揮しているようですね」

 恐れていた事態が早くも起きた――。
 BETAがALMを撃墜してくれない。これでは重金属雲はまともに発生しない。
 ただ、これは単純で小さな問題だ。次回からはALMがこちらの操作で爆発飛散するようにすればいいだけの話だ。
 もっとも次回があればの話だ。問題は今回なのだ。

 このままではXG-70dが直接照射を受けてしまう。それで壊れてしまうようなヤワな構造はしていないができるだけ鑑に負担はかけたくなかった。
 露呈してしまった自分のミスに腹が立つ。なぜ私はこんな単純なことが予想できていないんだ――。予想してしかるべきことのはずだ。

 とにかく今できる対応方法を伝えなければならない。
 答えを反射的にだす。
 非人道的案だが方法はこれしかなかった。
 XG-70dを守るためには駆逐艦に盾になって貰うしかない――。
 命令するのだ。
 盾になって死ね、と私が命令しなくてはいけない。

 「ピアティフ、降下軌道艦隊に連絡を――」

 「……駄目です、副司令! 大気圏突入中のため交信は全てアウトですッ! 」

 舌打ちしてしまう――。

 大気圏突入中の、この時間帯は無線は使えない。
 まさかとは思うが、BETAのこの動きはそこまで計算しての行動なのだろうか?

 「XG-70dは――!? 」

 「レーダー、ロストッ! 確認とれません! 」

 怒りで歯を食い縛る。厳しい戦闘になるのは予想していたが、この段階でここまで梃子摺るとは思っていなかった。
 連絡が取れないようでは、私からは命令ができない。

 後は降下軌道艦隊の判断に頼らなければならない。
 誰かがその身を盾にして、XG-70dを守ることを期待しなければならなかった。

 通信回復までに二分ほど時間がかかる。
 その二分の間にXG-70dが撃墜されている可能性もあるのだ。
 しかし、モニターを見ているだけしかできない。
 不甲斐なさに気が狂いそうになる。

 ――何故、対策を打てなかった――。鑑の頭の中を覗かれたのはわかっていたはずなのに、私は何をしていた――!?

 光点が先行している第一、第二戦隊を表示した。
 残存率は第一戦隊で20%、第二戦隊も半分を切っている。
 
 ――XG-70dは――!?

 身を乗り出してモニターを見つめる――。
 オペレーターが忙しく機器を調節している。
 嫌な汗が背中をつたって落ちていく。
 司令本部にいるスタッフの全てがモニターを見つめている――。

 ――どうなった……?

 一秒経過するのが異常に長い。
 冷たい沈黙が司令本部に満ちている。

 「……第五戦隊はまだ確認できないのかッ!? 」

 ラダビノッド司令が叫んだ。
 その時だった――。

 「……レーダー、XG-70dを確認ッ! XG-70dは健在ッ! モニターに映します! 」

 オペレーターのその声に、司令本部の中に安堵のため息が広がった。
 同時にXG-70dの姿がモニターに映し出された。
 先行した地上部隊からの映像なのであろう。
 XG-70dは大気圏を抜け、地表に向かって強行着陸態勢に移っていた。

 「……どうやら駆逐艦乗りの連中が頑張ってくれたみたいですね――」

 言わずもがななことを司令に言ったのは自分の気持ちを落ち着けるためだ。

 「そのようだな――」

 ラダビノッド司令が答えた。
 喉にひりつくような声をしていた。
















 偵察衛星からのハイヴ周辺の地表映像がモニターに映し出されている。
 米軍からの情報が次々と入ってくる。
 米軍は『い号標的』に向かい、我々国連軍の突入部隊は『あ号標的』に向かっているはずだ。

 突入部隊からの連絡はすでに途絶えている――。

 これは予定していたことだ。あくまでも計画通りの進行だ。
 気に病むことはない。
 私はややもすると暴走しそうになる心を理性という縄で縛り上げていた。
 米軍の設置した震度計のデータと偵察衛星の観測写真から、私はハイヴ内での動きを探ろうと躍起になっていた。

 ここにきて、一歩目の躓きが徐々に響いてきていた。

 ハイヴ深奥部に辿り着くまでは温存しておきたかったXG-70dの武装は、予定より大分早い段階で使用されていた。
 地上部隊が敵の数を減らしきれなかったためだ。

 仕方のないことなのだ。
 それはわかる――。

 これから先も厳しい。
 それもわかる――。

 火力が足りなくなるかもしれない。
 それがわかる――。

 『あ号標的』に辿り着いたとしても何もできない可能性すらあるのだ。

 だから私は必死になって計算をしていた。
 ハイヴ内を震源とする地震から、突入部隊の持つS11がどこで何発使用されたのかを計算していたのだ。

 通常の地下核実験ではTNT換算1キロトンの核でもマグニチュード4前後の揺れを計測するという。
 また人類の行った最大の地下核実験では50メガトンでマグニチュード7を記録したという。
 S11は戦術核クラスの威力を持つので、それに近い数字を計測するのは間違いないが、ハイヴは内部構造が複雑な上、BETA特有の物質で頑丈に塗り固められているため、それがどのくらい応用できるかわからないのだ。
 だから横浜ハイヴ攻略の際のデータを引っ張りだし何度も計算を繰り返し、私はできるだけ正確な予想をしようとしていた。

 おそらく突入部隊はすでに6発から8発程度のS11を使用していると思われた。
 鑑の作った構造図と照らし合わせ震動伝播のパターンから、ハイヴの天井部分を崩落させ広間の一つを潰したのではないかと私は予想していた。


 手元に置いてあるタイムスケジュールを確認してみる。
 予定ではもう、大広間に到達していなくてはいけない時間だ。
 完全に計画から遅れている。

 ――それにしても無茶な計画ね……。

 自分で立案した作戦だが、計画書を見返しているだけで本当に嫌気がさす。
 こんな絶望的な作戦なんて歴史上ありえない。
 完全なるスタンドアローン。どこにいるかもわからず、どんな状況かもわからない。
 わかっているのは一つだけ――。
 人類はハイヴの中で長時間勢力圏を確保したことがない、という事実だけである。
 時間が経過すればするほど、あの無尽蔵ともいえる物量に呑み込まれてしまう可能性が高くなるのだ。

 だからタイムスケジュールだけは厳密に決められている。
 
 SW115からの侵入。チェックポイントA通過。チェックポイントB通過。鑑の作った構造図からいくつかの通過ポイントを設定してある。
 予定の時間までに通過していないとBETAの増援が押し寄せてくる可能性が高くなる。
 いくつか設定してあるチェックポイントの最後が『あ号標的』ブロックになる。

 予定の時間を大幅に過ぎてもチェックポイントを通過したと判断できない場合は、その時点で全滅――、作戦の失敗と見做す。
 そのためのタイムスケジュールなのだ。

 そして突入部隊であるA-01部隊は、間もなくそのデッドラインを超えようとしていた――。

 気分が悪い。吐き気がする――。
 薬の過剰投与は良くないと判断し、使用を控えたのがまずかったのか――?
 もう一度、注射をしておくべきだった。
 心臓が鼓動を打つ度に頭が痛み、鉛を飲み込んだかのように胃が重い。
 白銀たちはまだ無事であろうか?
 何か予想外の事態に直面しているのではないだろうか?
 考えれば考えるほど不安になり、気分が悪くなっていく。

 司令本部のスタッフで口を開く者は、ほとんどいない。
 米軍から入る情報が時折、読み上げられるだけだ。

 ――米軍は多数の犠牲者をだしながらも着実に侵攻していた。
 『い号標的』つまりG元素を精製するといわれるアトリエ。
 ここは重要な目標だ。
 オリジナルハイヴ攻略に反対していたALⅤ派ですら、この作戦に乗ったのはここにあるG元素を確保するためだ。

 そして米軍は見事にこの拠点を確保していた――。

 複雑な気持ちだ。
 様々な新技術に転用可能なG元素が入手できるのは喜ぶべきことだ。
 だが同時にそれはALⅤ派が喉から手がでるほどに欲しがっていたG弾の原材料でもあるのだ。
 もしこのままA-01部隊が行方不明のままならば、作戦は失敗となる。
 そうなればG元素を手にいれたALⅤ派はG弾の大量運用に走ることは目に見えている。
 その時はもう、彼らを制止することは敵わないだろう。

 いずれにせよ米軍がそこに居座って、BETAを陽動し続けてくれれば本作戦上のメリットは大きい。
 この作戦が上手くいき『あ号標的』さえ落とすことができればALⅤ派も黙るはずなのだから――。
 私にはそれに賭けるしかなかった。

 ――何とかしなさいよ。アンタ、世界を救うんでしょ――?

 年下の男に、そう願うことしかできない自分に、ほとほと嫌気がさしていた。
 誰かに願うとか神頼みをするなどということは、私の信条に反するものなのだ。
 頭痛が更に酷くなってきた――。

 ――オペレーターの悲痛な叫びが聞こえてきたのは、その時だった。

 「米軍が撤退作業に入る模様ですッ――! 」

 ――馬鹿なッ!?

 約束が違う。戦力に余裕がある限りは撤退せずに、アトリエを制圧し続けることになっていたはずだ。
 陽動作戦を取り、A-01部隊に向かうBETAを抑える約束なのだ。

 ――連中は約束を破るつもりか――!?

 司令本部内がざわついている。
 ここにいる人間は皆、作戦がどのようなものか理解している。だからわかるのだ。
 A-01部隊が見捨てられたことが――、このままでは作戦が失敗することが――。

 「ピアティフ、米軍本部に繋いで頂戴ッ――! 」

 立ち上がって――、怒鳴りつけてやろうとした。許せなかった。こんな時に――。寄りにもよってこんな大切な時に――!
 しかし、その瞬間、私の身体が私を裏切った。

 世界がぐるりと反転し色が消えた。あらゆる音が急速に小さくなり世界が遠くなっていく。

 ――脳貧血……!? 

 床に頭を打ったのがわかった――。
 私は自分が意識を失くしていくのを理解していた――。



















 静かな世界だった。
 私は自分が眠っていることを感じていた。
 私は眠っている。
 だからこれはきっと幻聴なのだろう。
 誰かが優しい声で自分のことを呼んでいるような気がするのだ。

 ――……夕呼。

 誰だろうか――? 女性の声だ。

 ――……まったくもう、あなたは昔っからそうなんだから……。

 懐かしい声が聞こえる。怒っているような呆れているような――、とにかく懐かしい声だった。

 ――昔から何かに夢中になると食事はとらないわ睡眠もとらないわで、ずっとやりっぱなし……。

 ――……。

 ――いい加減、その電池切れになるまで突っ走る癖は改めなさいよ。

 昔から痛いところを突いてくる、私のことをよく知っている人の声だった。
 私は目を明けて彼女の姿を捜そうとしたが、どうやったら目を明けることができるのか、わからなくなっていた。

 ――昔っからそうだったものね。人使い荒いように見えて、本当は気を配っていて……、自分が一番働いて……。

 姿の見えない彼女の声が続けた。

 ――その上、そういう風に見られるのがイヤなものだから偽悪趣味で……。

 ――……煩いわね。

 私は言い返した。彼女がくすりと笑った。

 ――どんな時でも減らず口は変わらないのね。でも、私は夕呼のそういうところは好きよ。別にあなたの頭がいいから友達になったわけじゃないもの……。

 ――……。

 ――だから、夕呼ももう少し、私のこと……、ううん、私たちのことを信じなさい。私の育てた子よ……。伊隅が、速瀬たちが守ってきた子たちよ。このくらいのことは自分達で解決するわよ。

 ――……そんなこと……。

 わかってるわよ――。消え入りそうな声で言い返すのが精一杯だった。

 本当に――? 彼女は呆れたかのような口調で言った。

 ――疲れきってるみたいじゃない? 返事にキレがないわよ。

 もう一度、煩いと返事をしようとして――、私は止めた。

 そうだ――。
 彼女の言う通りだ。
 私は疲れきって何もかも嫌になっていた。
 自分たちの都合で動く米軍もそう。想像力のまるでない世界中の連中もそう。そして何より無力で愚かな自分自身に私は苛立っていた。

 10億人の人生も――、地球の未来も――、今の私には重過ぎるのだ。

 私は逃げ出したかったのだ。全てを投げ捨てて終わりにしたかった。

 そんなことはしてはいけない。
 そんなことはわかっている。
 それでもそうしたいのだ。

 私には立場がある。人を殺してきた過去がある。だから逃げないのだ。いや逃げられないだけなのだ。

 それだけだ。
 地球なんて――、もう、どうでもいい。
 何もかも上手くいかない。
 誰も私の望みどおりに行動してくれない。

 本当はわかっている。だから私は薬に逃げようとしたのだ――。

 ――……疲れてるのね、夕呼。

 彼女は優しく囁いた。
 昔からそうだった。彼女は私の母に似ている。

 ――皆のこと……、気にかけてるのね……。私が死んだことも……でしょ?

 言われてしまった。
 知られたくないことを彼女に知られてしまった。

 そのとおりだった――。
 それが原因なのだろう。
 あのせいで私は自分の弱さを認識してしまった。

 でも世界は私が弱くあることを許してはくれなかった。

 私は強い女のはずなのだ。
 世界を救う女なのだ。
 だから強くなくてはいけないのだ――。

 だからこう返事をするしかなかった。私は世界に従わないわけにはいかないのだ。

 ――他人の死なんて、もういい加減に慣れてるわ。何万人殺したと思っているのよ――。

 冷たく言うことはできているハズだ。

 それを聞いて――。彼女はしょうがないな、という感じで笑った。

 ――慣れてるからって悲しくないわけじゃないものね――。それに口調が厳しい時は、正反対のことを考えている……。付き合い長いから、とっくにバレてるわよ。

 彼女はそう付け加えた。

 ――夕呼は一生懸命にやっているわ。それは私が一番よく知っている。……親友だもの。

 まるで子供を諭すような口調だ。
 親友は教師になりたがっていた。私はふと、そのことを思い出した。

 そして何より親友という言葉が私の傷口を抉った。
 親友――。大切な友人。何よりも優先してやって、しかるべき者。
 私はその友人を殺した。
 自らの小賢しい知に溺れ、良かれと思ってした行動で大切な友人を殺した。

 私は自分を壊したかった。
 だから私は自分で傷口を穿り、それを引き裂こうとした。

 ――そうね、馬鹿みたいな理由でアンタを殺しておいて、エース達を無駄死にさせて――、それでも意味はあった。あれがなければ横浜基地はBETA襲撃の際に潰されていた……。そう思うことで自分を納得させる……。

 ――……夕呼。

 ――まったくもってアタシはいい仕事してるわよ。理屈は正しいわ。全部正解。それは間違いないわ――。絶対にね。

 あまりの情けなさに涙がでてくる。自分はいったい何をしているのだろう? アタシは皆を助けたかったのではないのか? 

 ――……夕呼。

 人前で泣いたのはいつ以来だろうか? 
 母親が亡くなった時にも私は涙を流さなかった。

 ――夕呼、自分を傷付けたくなる気持ちはわかるわ。誰にも答え合わせのできない難問を、あなたは独りで解き続けているのだから――。嫌になるのもわかる。……でもそうやって私の生を穢すのはやめてくれる――?

 ――……。

 ――……私は間抜けに死んだ? そうね。周辺警戒を怠ったのは私のミスだし、BETAを討ち漏らしていたのは伊隅のミスかもしれない。――その延長線上で自分のことを責めているのでしょ?

 そうだ。私のミスで多くの人間が死んだ。横浜基地でもそう。私は貴重なエース達を生贄に捧げた。

 ――でもね、夕呼。わかってくれる? 私があそこで死ななければ白銀はここまで強くなれなかった。――ううん、白銀だけじゃない。207B分隊の皆もA-01の連中もそう――。私の死を越えることで強くなった。

 ――……。

 ――だから私の生には意味があったし、その死にも意味があった。……夕呼が気に病むことじゃないわ。私の死はわたしのもの。あなたのものじゃない。

 ――……でも――。

 だからといって許されることなのだろうか? 私にはわからない。

 ――……でも?

 ――……まりも、アンタは死んでしまった。息をすることも食事をすることもできなくなってしまった。本を読んだり歌を唄ったり――誰かを愛したり、愛されることもできなくなってしまった。教師になる夢だって……。  

 彼女は返答につまり――、それから小さく笑ったようだった。

 ――確かにそれは残念だけど……。

 続けて彼女はとびっきりの明るい声で私に言った。

 ――夕呼、私は本も充分に読んだし、歌も唄えた。おいしいものも食べたし、教師になる夢も……、半分くらいは叶ったわ。楽しかった。私は人生を充分に楽しんだ。

 ――……。

 ――夕呼、あなたがしてくれたんじゃない。こんな時代にも拘らず、あなたが私を教師にしてくれた。あなたのお蔭で私はA-01という素晴らしい仲間を育てることができた。私の人生においてこれほど素晴らしいことはなかった。

 ――……。

 ――正解が見えないことは辛いことだと思うわ。でもね、夕呼。人間はあなたが思っているより強いものよ――。どんな場所、どんな時でさえ、喜びや感動を探しだせるものなのよ――。だから……。 

 彼女は自分を殺した相手を許そうというのだろうか? 彼女は私を許すと言っているのだろうか?
 
 ――不安や不満は私に言いなさい。いつでも聞いてあげるから……。

 彼女は変わらない。初めて会った時のままの彼女だ。私は彼女の芯にまた触れることを許された。
 彼女の芯は暖かく、それは私を癒してくれた。
 癒して、勇気を与えてくれて私を立ち直させてくれた。
 どうやら私は泣きながら笑っているらしい。
 あけることのできない瞳から熱いものが零れていくのを感じていた。

 ――それにしても、夕呼……。相変わらずロマンチストね。そういうとこ、皆に見せたほうが良いと思うわ……。

 ――……煩いわね。

 ――目が覚めたらあなたの居場所に戻りなさい。大丈夫……、もう少しで終わるから。――辛いかも知れないけれど、今という時代にあなたは必要なのよ……。

 声が小さくなっていく。
 私のことを置いて行ってしまう――。
 待って――、そう言おうとしても声がでない。

 ――……頑張ってね……。

 多分、それが最後の言葉なのだろう。
 彼女は優しい声で私を送り出してくれた。

 








 意識が急速に覚醒する。
 身体の芯には泥のような疲れがまだ絡み付いている。
 無理をして上体を起こす間に、私は自分がどこにいるのかを確認した。

 医務室だ――。多分、司令本部に一番近い所の――。

 点滴のチューブが視界に入る。針を腕から引き抜き、時計を探し時間を確かめる。
 意識を失くしてから30分ほどが経過していた。

 私が身体を起こしたことに気が付いて衛生兵が駆け寄ってきた。
 見たことのある顔だ。確かまりもが死んだ時、白銀の尋問に立ち会った者だ。

 「副司令、まだ休んでいてくださ――」

 「休んでるわけにいかないのよ! 」

 言葉をわざと被せて、彼女を黙らせる。交渉術の初歩だ。
 私は戦わなくてはいけないのだ。こんな所で時間を潰すわけにはいかない。

 「司令本部に戻るわ。肩を貸しなさい」

 「……そんな、まだ無理です」

 「じゃあ、悪いけど司令本部をここに持ってきてくれる? 」

 「そ、そんな……」

 私の屁理屈に彼女は反論できなかった。両足をベッドから降ろし立ち上がろうとした――。
 下半身に力が入らない。
 腰砕けになって、つんのめったところを衛生兵が支えてくれた。

 「ありがと……。じゃあこのまま運んでくれる? 」

 いかなる時でも口だけは減らない。先ほど、まりもに褒められた通りだ。

 薬の見せた幻覚か、脳が作った逃避か、それとも本当に親友の魂が訪れてくれたのか――。
 どれが正解なのかわからないが私は自分を取り戻した。

 ややもすれば知恵に溺れ、独善に陥りがちな小賢しい私を彼女は諌めてくれた。
 どんな時も近くにいてくれた。
 優しく見守ってくれた。
 そうだ。
 昔からそうだった――。

 彼女はいつだって私の良心だった。
 














 「――失礼しました」

 司令本部に戻った私はまず、ラダビノッド司令に頭を下げた。

 「大丈夫かね、博士――」

 もう大丈夫です――。ラダビノッド司令にそう返事をするやいなや私は彼を問い詰めるかのように質問した。
 米軍がどう動いたのか知りたかったのだ。

 「――戦ってくれているよ」

 それは私の予想外の返答だった。
 思わず浮かべてしまった私の表情を見てラダビノッド司令が笑いながら言った。

 「博士に米軍本部から伝言がある――。今までの『借り』はここでまとめて返させて貰う――。利子をつけてな、とのことだ」

 ラダビノッド司令の少し擦れてしまった声で、私が不在の間に何があったのか予想はできた。
 きっとこの男が頑張ってくれたのだろう。普段は温厚なこの男が、声を荒げて米軍と交渉したであろうことは容易に想像できた。

 助けられた。また私は助けられた。

 大気圏突入の時もそう。今回もそう――。
 私が知らないところで、私は誰かに助けて貰っている。

 一気に全身から力が抜け、私は自分の椅子にへたり込んでしまった。

 「大丈夫かね、博士――」

 ラダビノッド司令が再びそう言った。

 大丈夫ですわ――。返事もそぞろにピアティフに声をかける。私が意識を失くしていた三十分の間のデータが欲しかったのだ。

 転送されたデータを見てから目を閉じ計算に入る。S11がまた使用されていた。

 ――……一発、いやこれは二発だ。

 残弾予想計算からいけば自爆用のS11に手をつけたことになる。ひょっとしたら誰かが犠牲になったのかもしれない――。

 それでも私は彼らがこの仕事をやり遂げるであろうことを確信していた。

 ラダビノッド司令が話しかけてきた。

 「――博士、予定より大幅に時間を超過している……」

 いつまでも米軍に負担はかけられない。そろそろ決断をしなければなるまい――。ラダビノッド司令の表情がそう語っていた。 
 任務達成が不可能と判断されるなら、今度はできるだけ損失をださない形で米軍を撤収させねばならない。
 作戦はすでにその段階まで入ってきているのだ。
 
 A-01部隊をKIAと認定し作戦の失敗を宣言すべきか――。そうラダビノッド司令は私に聞いているのだ。
 だから私は答えた。
 声にできる限りの力をこめて――。

 「――まだですわ司令。彼らはまだ生きています」

 「……何故、そう思うのかね? 」

 彼の声は冷静だった。冷静に私の話を聞き、そして判断しようとしている。

 「S11は使い切られておりません。彼らはそれを使い切るまでは絶対に死にませんわ――」

 いざとなったら脱出用のS11まで使い切る連中であろう。彼らはまだそれを使っていない。
 だからA-01部隊はまだ健在なのだ。
 このことに私は確信を持っていた。

 ラダビノッド司令は正面から私の瞳の中を覗き込もうとしていた。
 私の頭の中をたっぷりと眺めた後、彼はゆっくりと頷いて言った。

 「――作戦を継続する。米軍にはもう三十分だけ頑張ってくれと伝える。それでいいかな、博士? 」

 「結構ですわ――」

 私はそう返答した。







 作戦は継続された。
 米軍は頑張ってくれているが被害は徐々に大きくなっていった。
 時間は刻々と過ぎていく。

 私は大型モニターを観察しながら自分の罪深さを感じていた。
 許されないことをしている。
 あきらかに私の我が侭だ。
 死んで償っても許されることではない。

 だが私の感情が止められないのだ。

 ――……白銀、鑑、社、御剣、榊、彩峰、珠瀬、鎧衣……。

 ――……まりも、伊隅、速瀬、涼宮……。

 何度となく彼らの名前を呼んでいた。私の仲間だ。私が信用した者たちだ。かならずやってくれる。やらねばいけない時なのだから――。
 精神論の問題ではない。ただの予感でもない。甘い期待でもない。

 彼らにはずっと厳しい任務を与えてきた。
 そうやって彼らを鍛えてきた。
 その全てをA-01部隊はクリアしてきたのだ。
 だから彼ら以外では不可能なことでも、彼らにはできる。
 彼らがその能力をフルに発揮してくれれば、間違いなく『あ号標的』は破壊できるはずなのだ。
 だから信じるんだ。
 彼らを信じるんだ。
 私が信じないで誰が彼らを信じてやれるんだ。

 何もできないわけじゃない。
 政治力を駆使して陽動を続けさせてやる。
 だからやりきれ。
 任務を果たして生きて帰ってきなさい――。

 ――しっかりやりなさいよ、白銀 武……!

 そして私が何度目かの呼びかけを頭の中で繰り返した時、それは起きた――。





 モニターに警報が表示された。司令本部が色めきたった。
 衛星からの画像でハイヴの中心部に当たる地表が大きく波をうったのが私には見えた。

 それは巨大な地震の発生を意味していた。

 「マグニチュード8規模ッ! 大きい! 震源ッ……、あ号領域――、あ号反応……」

 ピアティフの声で司令本部に緊張が走る。

 「――あ号反応……」

 全ての音が止まり、世界が彼女の一言を待った。

 「……あ号反応――、G元素反応消滅ッ!! ――装甲連絡艇の脱出を確認ッ! 」

 ピアティフの声が司令本部に響きわたった。

 ――一瞬の沈黙の後。

 司令本部に大歓声が沸き起こった。

 人。人。人。

 泣く人。
 笑う人。
 叫ぶ人。

 座っている者は一人もいなかった。
 飛び上がって喜ぶ者、床に崩れ落ちて歓喜の涙を流す者。
 ある者は笑い――、ある者は抱き合い――、ある者は死んだ戦友を思い――、ある者はただひたすらに中空を見つめ震えていた。

 歓声が司令本部に渦巻いていて、ピアティフに話かけるためには席を立ち近づかなくてはならなかった。
 ピアティフもオペレーター仲間と抱き合って泣いていた。

 「――ピアティフ、バイタルを――! 」

 彼女は一瞬、きょとんとした忘我の表情を見せた後、機材にかぶりつく様にして急いでモニターを再チェックした。
 周りは狂喜の感情の嵐だ――。誰も彼もが己の感情を露わにしている。

 「――バイタル確認。……生存者は二名――、白銀少尉と社臨時少尉のみ、00ユニットは沈黙――。自閉モードに入っています――」

 ――……生存者二名。

 残りの人間は全て死亡した。まりもの育てた子供たちは一人しか帰ってくることはできなかった。
 そして00ユニットも――、もう二度と覚めることのない深い眠りへと落ちていった。
 彼女の体内のODLが耐久限界値まで達した時、彼女は仮初めの生をまっとうすることになる。

 「――博士」

 話しかけてきたのはラダビノッド司令であった。

 「――生存者は二名です」

 自分でも何を言っているのかわからない。何を言ったらいいのだろう。わからないが何故か泣きたくなる。
 私は今、喜んでいるのだろうか、それとも悲しんでいるのだろうか――?

 「ご苦労だった――」

 ラダビノッド司令は一言だけ言うと深く頷き右手を差し出した。
 静かに、しかし、しっかりとした握手を交わす。
 私たちの周辺で再び大歓声が沸き起こった。

 まるで父親と握手を交わしているような感覚だった。
 固く握ってくれている手が私を混乱の中から拾い上げてくれた。

 「――司令……。全世界に報告しなければなりませんね」

 彼はもう一度、深く頷いた。

 「そうだ……。全世界に伝えよう――。彼らの仕事の成果を……! 」















 化粧をしたのは久しぶりだった。

 間もなくこの世界から去っていくアイツに、目の下に隈のできた顔色の悪い表情を見せるのは、流石に偲びなかったのだ。

 アイツのいる場所は社に聞かなくてもわかっている。
 きっと最後の挨拶をしている頃だろう――。

 鑑のODLはもうすぐ耐久限界値を超える。
 彼女が消滅すれば、同時に彼も消えるであろうことは自明の理であった。
 そしてその消滅とともに、彼の名前はこの世界のあらゆるところから消えるだろう。
 ループはそこで終わり、解放された時間は前に向かって動き始める。

 ――これから私には初めての経験が待っている。

 『忘れる』ということを、おそらく初めて経験することになるのだ。

 もちろん、ただ手を拱いて忘れるつもりはない――。
 すでに、二重三重の対策は取っている。
 後は実験してみて、結果をこの身で味わうだけだ。





 社がずっと落ち着かない――。

 今すぐにでもアイツに会いにいきたいのを必死で堪えているのだろう。
 その様子がいじらしくて可愛い。

 声をかけ部屋を出る。

 社は白銀に全てを話したという――。
 鑑が何を考え、どう生きたのかアイツに話したと言っていた。

 アイツとは基地に帰還してきてからは、まだ顔を合わせてはいない。
 色々と忙しかったのだ。世界が動きだしたのだから――。
 
 アイツからレポートが届いている。かなりの量だ。
 丁寧でしっかりと、そして冷静に記入されている。
 それを読むだけで、アイツが何を考えているかはよくわかった。

 長い廊下を歩いている。

 普段は私の後ろを歩く社が、私を引っ張るかのように足早に先導する。
 その姿が微笑ましくて、自然と頬が緩む――。

 この子にこんな感情を持たせるなんて――、やっぱりアイツは面白い男だ。
 平和な世界のアタシが、彼をからかって遊んでいたというのがよくわかる。

 アイツには礼をしてやらなければいけない。

 幸せな世界に帰る前に、この世界はもう大丈夫だと思わせてやらなければなるまい――。
 それがアイツを慕っていた者たちに対しての供養にもなるであろうし、そこからでないと私も前に進めまい。
 怒りも、悲しみも――。全て受け止めてやろう――。
 それがアイツの教師であるアタシの仕事だ。



 基地の外は暖かな日差しだ。昨日までとは違う優しい光だ。

 桜の並木道が見える。

 彼の姿が見えた。

 桜に何か話しかけているようだ。

 初めて見た時より背中がずっと大きくなっている。

 いつもより少しだけ早足で彼に近づく。





 その背中に声をかける――。








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